A GARAGE FOR LOTUS

愛車LotusExigeと過ごす伊豆山奥の隠居生活

STORIES

STORY(11) - LOTUS EXiGE

エクシージで伊豆・箱根を走り回れるようにと苦労して作ったガレージであったが、完成してみると、ここを基地にして近郊にドライブに出ることなど全く無かった。横浜からの行き帰りだけである。いや、最近では雪のない時期でさえ電車とバスで行き帰りするこ…

STORY(10) - 一念発起

あれから早2年が経った。生けるものの生命力に圧倒される春、下界の暑さが嘘のような涼しい夏、想像を絶する量の落ち葉と格闘する秋、じっと春を待つ極寒の冬。蟻や蛾やコオロギの襲来、大雨・雷・台風・大雪・氷との戦い、飛び出してきた鹿との衝突事故、…

STORY(9) - 初めての夜

2月のことである。晴天にも恵まれ意気揚揚とエクシージを駆ってガレージに着いた私は、主水栓を開き、水抜きをしてあった水道管に教わった通りの手順で水を通し、新しい木の香り一杯の室内で大好きなレコードを聞きながら愛車を眺め、一人で悦に入っていた…

STORY(8) - アプローチ

そして工事は始まった。できる限り木を残すようにしてもらったが、それでもあたりの景色はガラリと変わる。N社長は週末に会う度に「露天風呂のこの石はちょっと手に入らないいい石なんだ」とか「このアプローチは10トン車が載っても壊れない設計だ。その辺…

STORY(7) - 内がダメなら外

私は完成した設計図をN社長に見せて、アプローチを含めた外溝工事一式をお願いしたいと申し出た。「まんまと社長の罠に嵌ったね」と言ったら、「温泉はどうするつもりなの?」と設計図から目を上げて真顔で聞く。設計では少しでもスペースを確保するため、ユ…

STORY(6) - 主はどっち?

N社長と知り合ったおかげで、私は覚悟を決めることができた。ここまで来たら、中途半端なものを作るのはやめようと思った。安価だという理由で選びかけたログハウスはやめた。価格は高いが寒さに強い高気密住宅にしようと思った私は、住宅展示場に出向き、名…

STORY(5) - N社長

次の週末、私はその同じ道を走っていた。不動産屋に会うためである。前の週、偶然に辿り着いた別荘地の雰囲気がとても気に入った私は、無理をすれば手の届きそうな物件をいくつかインターネットで探し出し、早速案内を頼んでいたのである。だが、待ち合わせ…

STORY(4) - 緑のトンネル

だが、すぐに箱根の別荘地など東京の地価と大して変わらないことがわかった。ただでさえサラリーマンには不釣合いなスポーツカーを無理してローンにしている身分である。他にもローンは山ほど残っている。夢は夢、現実を直視してあきらめるのが良識ある大人…

STORY(3) - 夏の日の出来事

私は今のところレースはやらない。サーキットを走れるほどのドライビングテクニックもないし、愛車を限界まで酷使する度胸もない。何よりも負けず嫌いの私の性格上、ハマッテしまうのが怖い。エクシージが日本の暑さと渋滞を前提にして作られた車ではないこ…

STORY(2) - そしてEXiGEとの出会い

オーダーしてからエクシージが手元に届くまでにはさらに1年近くかかった。全世界で620台程しか作られなかった車である。初めてそのシートに座ったとき、果たして私の手に負えるだろうか心配になった。後で知ったが、この車のオーナーのほとんどはサーキ…

STORY(1) - Elise との出会い

もう、今から数年前のこと。仕事帰りの満員電車、前の座席の若者が読んでいた雑誌にふと目をやると、見たことのない、しかしどことなく若い頃に憧れたロータスヨーロッパに似た濃紺のオープンカーの写真。「これ、何ていう雑誌?」突然に上から覗き込むよう…